昨々品々

サクッと読めます

2022-10-12

「旅行に行く気持ちで空港に行こう」と誘って家から出てきてくれる友人がいる。

幸せだ。

行きたい場所を決めて、フライトの時間を確認し、乗る予定の飛行機を決めた。行かないし、乗らないけど、この”旅行のふわふわした気持ち”から降りないことを約束した。

 

午後1時。我々はハワイに行く気持ちを持って空港に集合。友人は昼食の時も「向こうに行ったらお米が食べられないかも」と、白米のメニューを注文していた。気合いが違う。私は欲望にあらがえないので担々麵を食べた。(友人のセットに付いていたきくらげと玉子の炒めものと、肉団子甘酢あんかけを見ながら、明日の朝食のスクランブルエッグやミートボールに思いを馳せた)

コロナ渦で店が結構閉まっていて、見どころは自分たちで探さなければいけない。
しかし、得意なので何にも問題なかった。

友人は目ん玉そのものみたいな人だ。常に360度見渡してわくわくするものを探しているような人間だから… 私は付いていけばいい…

 

無印良品を見に行く。
無印良品の商品紹介はかなり自己紹介的だ。

「ねりころ梅」は

ねり梅に糖衣をかけました。程よいかみごたえと甘酸っぱさが特長です。

特長ですってところが自己紹介っぽい。なんとなく優等生を感じる。

「不揃い 発酵バターバウム」は

発酵バターのコクと香りが特長のバウムです。焼きムラや変形など、おいしさに関係なくはじかれていたものも生かしました。深いコクと香ばしい風味が特長のニュージーランド発酵バターを使って焼き上げました。しっとりとした食感と濃厚な風味が味わえます。ニュージーランドの乳製品は強い旨みが特長で、そのクリームから作られた発酵バターを使うことで、濃厚な味わいのバウムクーヘンに仕上げています。

この自己主張だ。グルグル模様が描かれた丸眼鏡が思い浮かぶ…(俺は丸尾君が好き)

個性溢れる自己紹介を読んでいたら、商品棚がだんだん教室に見えてきて、みんなが着席しているように思えてきた。2人で友達になりたい商品を探した。

私は「バターチキンカレー」

3種のトマトを使い、酸味と甘みを引き立て、ギーとカシューナッツでまろやかに仕あげました。カルリメティの香りが生きています。

理由は「よく分からないから」です。あたくしは分からないものを愛しているの... 美味いに意味はいらない。友人は爽やかなものに注目していた。全然違って面白い。

この後も、”自己紹介してるっぽい商品” を探してインターネットする時間が続いた。空港にいなくてもできるので是非みんなもやってみてほしいな ♪


飛行機の荷下ろしを見て「飛行機の排泄」と言ったり、職員の集会を見て「このままフラッシュモブやってほし~」と言ったり、かなり勝手な時間を過ごしたあと、ロビーのソファーで三角チョコパイを食べた。隣の親子連れが「マック食べたい」「マックなんてどこでも食べれるでしょ」と話しており、みんな勝手な時間を過ごしているな!大変よろし!!(扇子をザッと開く…)

 

乗る予定の飛行機までまだ時間があったので、第3ターミナルから第1ターミナルまで歩こう。案内所の人に方向を尋ねたら、

「絶対にやめた方がいいです。私も歩いたことあるけど、絶対バス乗ってください。無料でバスがあります。絶対やめてほしい」

と強烈に止められる。
初めての経験だ。すごい。「就活しないで役者目指します」と親に伝えた時より止められた。私がまだまだ笑っている時、友人は「あの人は1回歩いての判断なのか、『嫌だ…』と思いながら何回も歩いたのか」と分析を始めていた。

バスに乗って第1ターミナルに行き、飛行機の荷下ろしを見て「小さい車はピタゴラスイッチの『スー』みたいだ」と言ったり、出発時間からどれくらいで飛び立つのか計ったり、かなり勝手な時間を過ごしたあと、友人の側転を見た。いろんなものを見て脳がバキバキになったので、乗る予定の飛行機を見送る前に解散。良い疲労感と高揚感を持ったまま帰宅した。

当初の予定とだいぶ違うが、それ以上の思い出ができたし、友人とたくさんお喋りできたのも大変嬉しい。前よりもっと友人になれた気がする。これは同じ経験ができたのがかなり大きい。「これに乗る予定なんだよね」と電光掲示板を確認したとき、「悔しい… (実際には行かないのが)悔しくなってきた」と呟いていたのが印象的で、それを見た瞬間に、私の中の”行かない旅行の話が一番面白い説”が完全に覆った。

それも含めてかなり楽しかったので、「旅行に行く気持ちで空港に行く」はオススメしたい。カメラ忘れるとか、ターミナル間違えるとか、上着持ってこないで寒がるとか、旅行っぽいミスを多発するのも面白かったけど、これは無くてもいいね!

 

みんなもやってみてね~ 

 

グッドバイ✋