昨々品々

サクッと読めます

2022-08-01

区から健康状態を聞くメールが届かなくなり、どうやら私の療養期間が終わったみたいだった。
終わったか〜 呆気ないな〜 なんて思いながらandymoriを聴いてたら、急に高円寺が見たくなった。

高円寺を歩いて、
芸人になったもう1人の自分を想像した。

劇場でスベッたことより、先輩に上手く挨拶できなかったとか、私もそのTシャツ持ってます!なんて言わなきゃよかったとか、そんな落ち込み方ばっかりな気がする。それでも尊敬する先輩や、大好きな仲間を見つけて楽しく過ごすのだろう。

人生を駆け抜けたい。人生を駆け抜けて、「なんか、なんだったんだろうあの人」って、みんながぽかんとしていて、当の私も「あれっ、おわり?」なんてぽかんとしている。すごい速かったな、でも何だか楽しかった気がする。そんな人生がいい。

andymoriの「ハッピーエンド」が好きだ。

どうせどこにも行けないのなら
ずっとここにいてもいいんだよ

久しぶりに出た外。空が本当に笑えるくらいきれいに見えて、写真を何枚も撮った。
こんな気持ち、私はすぐ忘れると思う。すぐに忘れて、「街とバイブスが合わん!」「引っ越したい!」とか言い出すんだろうけど、でも、今は、今は、またこの街に帰ってくるぞって誓ってる。

地面がわけわかんないくらい汚れてて、近所の銭湯は知らん政党のポスターがベタベタ貼られてて、駅前ではおじいさんが鳩にパン投げてて、101号室の人はカラス手懐けてて、105号室からは深夜に叫び声が聞こえて、庭の草は伸びてアパートごと飲み込まれそうになっている。

へんな街。私はこのへんな街に帰ってきたいと思ってる。なんなんだここは、合わない、人が住む場所じゃないとか言いながら、きっとまたここに来る。

なか卯に寄って、うなぎ弁当を買った。
復活祝いだって言って、財布を空っぽにして。
弁当を手に引っ掛けてレンガ道を歩く。
古本屋、ケバブ屋、コインランドリー、酒屋、ジェラート屋、ファミマ、セブン、大した思い出も作れなかった店を全部通り過ぎて、私の家。
家賃4万8000円 アパートのドアを開けた。